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前立腺癌高密度焦点式超音波治療(HIFU)

前立腺がんの治療にはさまざまな方法があり、なかでも限局性前立腺がんの場合は手術治療から放射線治療、超音波治療などいろいろな選択肢があります。

現在行われている治療は手術療法が標準治療として多くの施設で行われています。ほかには放射線治療(内照射・外照射)、重粒子線、IMRT、HIFUなどがあげられるがそれぞれ長所・短所があります。

HIFUは身体に大きな侵襲を与えず、高い効果が望め、合併症の少ない治療となる可能性があります。

本システムは愛知県(名古屋)・岐阜県・三重県には今までなく、今回当院では東海3県では初めて本システムを導入し平成18年4月から治療を開始いたしました。

前立腺癌に対して

限局性前立腺がん患者さんにとって、理想的な治療方法とはどんなものでしょうか?身体に傷をつけずに治療し、かつ高い臨床効果と副作用の少ない治療法はないでしょうか?高密度焦点式超音波治療法はこの要望を達成できる大変高い可能性が期待されています。この装置はアメリカで開発され、1992年に人の前立腺肥大症に対して臨床応用されました。日本では東海大学八王子病院の内田教授が1993年に治療を開始されました。前立腺がんに応用されたのは1999年からです。すでにヨーロッパではがんの治療機器として販売されています。現在、アメリカと日本で治験が行われており、ヨーロッパや日本での治療報告の中でもこの治療法は下の『HIFUの特徴』に示した様な特徴があり、限局性前立腺がんに対して施行されている他の治療法と比較しても患者さんの負担(侵襲度)が少なく、治療効果は現在標準的治療法とされている根治的前立腺摘出術に匹敵する理想的治療法の一つと紹介されています。

HIFUの原理

HIFUの原理HIFUの原理は例えば、虫眼鏡で太陽光線を紙の上に焦点を結ばせると、その極点は高温になり発火します。それに類似した原理で、超音波を凹面状振動子から体内深部の治療領域に向けて発射し、介在する良性組織に損傷を与えることなしに患部のみを高温(80〜98℃)にし凝固壊死させます。安全で、患者さんの負担が少ない高度先進治療法です。

 

HIFUの焦点の収束

HIFUの焦点の収束一般の超音波画像診断装置の強度は0.094W/cm2で、強力超音波だと100W/cm2にる。

HIFUはこの強力超音波を虫眼鏡で光を集めるように半円形の凹面振動子(プローブ)から放射し、その振動エネルギーを曲率中心である焦点領域に集束させる事により、その焦点領域にさらに強力なエネルギーを集めたものである。その超音波強度は1300〜1680 W/cm2に達し、一般の超音波画像診断装置と比較すると13000〜18000倍に達する。

この集束した振動エネルギーが組織の吸収係数に応じて熱に変換される原理を利用してHIFU治療が行われる。

焦点温度

HIFUの焦点領域の温度は80〜98℃に達するが、5mm離れた部分は45〜48℃、1cm以上離れた尿道・直腸に温度上昇は認められない。

HIFUの特徴
  1. 体に傷かつかない。
  2. 良好な臨床効果。
  3. 合併症が少ない。
  4. 何回も繰り返し治療ができる。
  5. 入院日数が短期間。または外来治療が可能。
  6. HIFU療法後に全摘術あるいは放射線療法が可能。
  7. 根治手術や放射線治療後の再発症例の治療もできる。
  8. 機器が移動可能。
  9. 手技が簡単。
  10. 特別な部屋・許可の必要なし。
  11. 機器・治療費が比較的安価。
逆に他の治療に比べて不利なところもあります。
  1. 40ml以上の大きな前立腺は不可
  2. 1cm以上の大きな前立腺結石のある場合は不可
  3. プローブ挿入困難な肛門狭窄例は不可
HIFUの効果
治療成績と合併症について

国内ではすでに2000例以上の患者さんがHIFUの治療を受けています。治療後にはがんの病勢を示すPSAが低くなります。約1年後には、80%以上の患者さんでPSAは完全に正常になっています。ただし、治療前のPSAが高い人(例えば20以上)では効果は落ちるようです。この効果の程度は、手術による前立腺全摘術の場合とほとんど変わりません。

東海大学八王子病院の内田教授のデータでは、PSA値が10 ng/ml 以下ならば88 % 、10〜20 ng/mlならば70 % に有効という結果が出た。一方PSA値が20 ng/ml以上では18%と明らかに有効率が低下していた。

入院期間はほとんどの場合3〜4日くらいで済みますので、手術の3週間に比べるとはるかに短いです。治療のときの合併症もほとんどありません。治療のあとは、前立腺がむくんで一時的に尿が出なくなるので、尿道に力テーテルを2週間くらい入れておく必要があります。ちなみに、手術、小線源療法でも同じくらい入れておく必要があります。

もっとも多い後遺症は、尿道が狭くなって尿の出が悪くなることで、2割くらいの患者さんにおこります。これは外来で尿道を拡張する処置をすれば、ほとんどの場合良くなります。勃起の障害も同じくらいにおこりますが、時間が経つともとに戻ることが多いようです。あとは、膀胱炎や精巣上体炎といった感染症がたまにおこりますが、これらは薬で治せます。後遺症でもっとも困るのは、非常に稀ですが尿道と直腸の間に穴が開くことです。

合併症
尿道狭窄 18.6%
精巣上体炎 6.3%
膀胱頸部硬化症と頸部付近の
線種の落ち込み
2.5%
尿道直腸瘻 0.8%
一時的尿失禁
(1ヶ月で回復)
0.4%
勃起不全 
(塩酸シルデナフィルで5/12例回復)
24.2% (12/62)
逆行性射精 11.7% (14/120)

(東海大学の資料より)

他の治療との比較
限局性前立腺がんの根治的治療

治療方法

方法 長所 短所

手術

前立腺全摘出術

(観血手術)

下腹部を切開して前立腺、精嚢を摘出します。 もっとも広く行われ方法も確立している。
根治性が高い。
入院期間が2〜4週間と長く、尿失禁や尿道狭窄が2割に起こる。また約80%がED(勃起不全)になる。出血に対する輸血の問題もある。
放射線治療 40回くらいに分けて放射線を前立腺に当てる。 外来通院でも可能。
週5回5-6週間。
膀胱炎、直腸炎など放射線障害が何年たっても起こり難治性。アメリカの調査では3万人以上の放射線治療を受けた患者から953人の直腸がんが発生したという報告がある

粒子線治療

(陽子・重粒子)

加速器を用いた大掛かりな設備で元素を前立腺に当てる。 従来の放射線よりも効率がよい。周辺臓器への障害が従来の放射線治療に比較すると少ない。 国内では数ヶ所でのみ。千葉市稲毛の重粒子医科学センター病院など。自費診療で300万円以上かかる。1.5ヶ月入院。ホルモン療法は継続。
強度変調放射線治療(IMRT) コンピューターにより高エネルギーX線の強さを細かく制御することで腫瘍部分のみに放射線を集中させ,周囲正常組織への照射を軽減させる画期的な方法です。 周囲組織である直腸や膀胱への照射量を減らすことができ、効果が高まり、副作用が軽減できる。 通常放射線療法よりすこし日数がかかる。まだ限られた施設でしかできない。東海地区では名古屋市立大学、海南病院、市立伊勢総合病院など。

小線源療法
Brachytherapy
(ブラキー)
組織内照射

放射線を出す小線源を60-100本ほど前立腺に打ち込む 出血は少ない。入院期間も1週間と短め。 現在では、単独では効果が不十分でホルモン療法や放射線療法が追加されている。近くでは愛知県がんセンター、三重大学医学部附属病院。
HIFU(ハイフ) 超音波で前立腺を高温(80〜98℃)に加熱する。 入院は1-4日で、体の負担も少ない。 後遺症として尿道狭窄が約2割におこる。自費診療で約84万円〜100万円掛かる。

HIFU 治療は、まだ自費診療のため費用は掛かるが 体に対しては負担が少なくやさしい治療といえる。 また治療効果は5年経過の段階ですが 標準治療である根治手術にせまる成績である。

HIFUの適応基準
  1. 病期はT1b〜T2,N0,M0
  2. PSAは20ng/ml以下
  3. 前立腺容積は40ml以下
  4. 肛門狭窄がない。
  5. 大きな前立腺結石がない。
  6. 年齢は問わない。
  7. 組織型は問わない。
HIFUの照射方法

1つの焦点領域につき3秒間超音波を照射して 3〜6秒間休むという間隔で治療します。

通常これを1000〜2000ヵ所で繰り返します。

照射の仕組み

照射の仕組み(動画)

(動画ファイル7249KB)

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左のバナーから無償でダウンロードできます。

治療の手順
  入院日 当日・術前 当日・術後 手術翌日 手術2日目
食事 夕食まで常食
21時以降絶飲食
絶飲食 帰室後3時間で飲水可
食事は不可
朝:3分粥
昼:7分粥
夕:全粥
朝〜:常食
安静度・
活動
病院内自由 ベッド上安静(側臥位可) 昼から院内自由
排泄 トイレ 大便:ベッド上排泄
尿:尿の管が入っています
大便:トイレ
尿:⇒
尿の管は入ったまま退院になります。
検査       血液検査・
胸腹部X線
 
点滴注射 抗生剤アレルギーテスト 手術前点滴
手術直前注射
手術後点滴 点滴終了
内服・
外用
持参薬の服用は主治医の指示に従ってください。
夜:下剤を服用
浣腸     内服開始
説明・
指導
入院時
オリエンテーション
  手術後説明 午後退院指導(看護師より)  

※入院期間は、3泊4日となります。

※術後の経過には個人差があります。ご不明な点は医師や看護師にお尋ね下さい。

HIFUの関連施設
北腎会 坂泌尿器科病院 北海道札幌市
防衛医科大学校病院 埼玉県所沢市
愛友会 上尾中央総合病院 埼玉県上尾市
明理会 大和病院 東京都板橋区
帝京大学医学部付属病院 東京都板橋区
日本赤十字社医療センター 東京都渋谷区
東京医科大学病院 東京都新宿区
北里研究所病院 東京都港区
中目黒消化器クリニック・前立腺センター 東京都目黒区
東海大学医学部付属八王子病院 東京都八王子市
杏林大学医学部付属病院 東京都三鷹市
陽和会 西窪病院 東京都武蔵野市
国保 旭中央病院 千葉県旭市
千葉大学医学部付属病院 千葉県千葉市
富士厚生クリニック 山梨県大月市
新風会 丸山病院 静岡県浜松市
ワ純会 武内病院 三重県津市
長谷川病院 富山県富山市
枚方市民病院 大阪府枚方市
恒昭会 藍野病院 大阪府茨木市
医誠会 医誠会病院 大阪府大阪市
岡山市立市民病院 岡山県岡山市
広島厚生病院 広島県広島市
仁鷹会 たかの橋中央病院 広島県広島市
済生会八幡総合病院 福岡県北九州市
邦生会 高山病院 福岡県筑紫野市
原三信病院 福岡県福岡市
薬院ひ尿器科病院 福岡県福岡市
大分泌尿器科病院 大分県大分市
紘淳会 とまり泌尿器科 鹿児島県鹿児島市
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